【接客業出身エンジニアが語る】技術より大事だったこと|ユーザー視点が生む開発の質
「エンジニアに必要なのは技術力だけ」と思っていませんか?
私もエンジニアになる前はそう思っていました。「プログラミングさえできればいい」「技術力を上げれば上げるほど良い」と。
でも実際に現場に入ってみると、技術力と同じくらい――いや、場面によってはそれ以上に――重要なものがありました。
それは「人を理解する力」です。
接客業8年からJavaエンジニアに転職した私が、実体験を通じて気づいた「技術より大事だったこと」をお伝えします。
この記事でわかること:
- 現場で気づいた「技術力だけでは足りない理由」
- 接客業出身エンジニアが現場で評価された理由
- ユーザー視点を持つエンジニアが作るシステムの違い
- 「傾聴力」がシステム開発の上流工程でなぜ重要なのか
エンジニアになって最初に気づいたこと
2023年6月、念願のJavaエンジニアとしてのキャリアをスタートしました。
最初の現場は通信業のシステム開発。コードを書くことへの喜びと同時に、一つの現実に直面しました。
「技術力だけでは良いシステムは作れない」
具体的には、こんな場面がありました。
あるタスクで「この機能を実装してほしい」という依頼がありました。要件通りに実装して「完成しました」と報告した時、担当者から「うーん、こういうイメージじゃなかったんだよね」という反応が返ってきました。
技術的には要件通りに実装していました。でも、依頼者が「本当に欲しかったもの」とは違った。そのギャップが、良いシステムを妨げる最大の原因だと気づきました。
「要件」と「本当に欲しいもの」のギャップ
システム開発でよく言われる話ですが、クライアントが言葉にした「要件」と「本当に欲しいもの」は、しばしば異なります。
有名な「ブランコのたとえ」
システム開発の世界に「ブランコのたとえ」という古典的な図があります。
クライアントが「こういうブランコが欲しい」と言った時、設計者が図面を描き、開発者が実装すると、最終的に全く違うものが出来上がってしまう……というジョークです。
このギャップを生む原因は何でしょうか。私が現場で感じた答えは「聞く力の不足」です。
なぜ「聞く力」が重要なのか
クライアントや上流の担当者が「こういう機能が欲しい」と言う時、多くの場合、その言葉の背後に「解決したい課題」があります。
- 「この画面に検索機能が欲しい」→「本当の課題:毎回全件表示されるので、担当者が目的のデータを見つけるのに時間がかかっている」
- 「PDF出力機能が欲しい」→「本当の課題:現在手作業でデータを集めて印刷しているため、月次レポートに3時間かかっている」
「何を作るか」ではなく「なぜ必要か」を聞き出せると、より良い解決策を提案できます。
接客業8年で培った「聞く力」の正体
なぜ私が「聞く力」を持っているのか。それは接客業の現場で毎日磨かれたからです。
接客業での「聞く力」の訓練
飲食店での接客を例に挙げます。
お客様が「何かあっさりしたもの」を注文する時、それはどういう意味でしょうか?
- 胃腸の調子が悪い
- ダイエット中
- 昨夜飲みすぎた
- 単純に今日は気分的にあっさりしたい
同じ「あっさりしたもの」という言葉でも、背景はさまざまです。適切な提案をするためには、お客様の状況や気持ちを「聞く」「観察する」必要があります。
これを8年間、毎日繰り返してきました。
エンジニアの現場での活用
この習慣が、システム開発のヒアリング場面で直接活きています。
クライアントが「こういう機能が欲しい」と言う時、私は次のような質問を自然にします。
- 「現在はどのような方法でその作業をされていますか?」
- 「その機能があることで、どんな問題が解決されますか?」
- 「理想的にはどんな状態になっていてほしいですか?」
この質問が、「本当に必要なもの」を引き出す鍵になります。
現場で評価されたエピソード
実際に「接客業出身の強み」が評価された場面をいくつかお伝えします。
エピソード1:要件定義の場での気づき
あるプロジェクトで、クライアントとの要件定義の打ち合わせに同席する機会がありました。
クライアントの担当者が説明する内容を聞きながら、私は「この機能が必要な理由は、担当者の業務フローにボトルネックがあるからでは?」と気づきました。
確認してみると、その通りでした。単に機能を追加するより、業務フローを整理することで問題の根本が解決できることがわかり、より本質的な提案ができました。
担当者から「こちらの意図を正確に理解してくれている」と言ってもらえた場面です。
エピソード2:チーム内でのコミュニケーション
エンジニアのチーム内でも、コミュニケーションは重要です。
技術的なバックグラウンドが違うメンバー同士が議論する時、「なぜそのアプローチが良いのか」を技術的な説明だけでなく、「ユーザーにとってどんなメリットがあるか」という観点から話すことで、合意形成がスムーズになると感じています。
「技術より大事なもの」とは何か
接客業からエンジニアに転職して2年以上が経ち、「技術より大事なもの」として実感しているのは以下の3つです。
1. ユーザー視点:誰のために作るのかを忘れない
システムを使うのは「人」です。どんなに技術的に優れたシステムでも、使う人にとって使いにくければ意味がありません。
「このシステムを使う人は、どんな状況で使うのか」「どこで迷うのか」「使いやすいとどう感じるか」を常に想像しながら開発することが、良いシステムを作る出発点です。
2. 傾聴力:相手の言葉の背後にあるものを理解する
技術的な要件だけでなく、「なぜその機能が必要か」「どんな課題を解決したいのか」を丁寧に聞き出す力。これが、要件定義・設計の上流工程で特に重要です。
3. 橋渡し力:技術と非技術の間を繋ぐ
エンジニアは、クライアント(多くは非エンジニア)と一緒に仕事をします。技術的な内容を分かりやすく伝え、非技術者の言葉から技術要件を読み取る「翻訳力」が、プロジェクトの成否に大きく影響します。
私が目指すエンジニア像
「技術で人を助けるシステムを作りたい」というのが、私がエンジニアになった根本の理由です。
特に、社会保障制度の情報格差を解消したいという強い想いがあります。社会的弱者や、複雑な制度に困っている人たちが「このシステムがあって本当に助かった」と言ってくれるようなシステムを作ること。
それは技術力だけでは実現できません。「どんな人が困っているのか」「その人たちに何が必要か」を理解する人間的な力があって初めて、技術が意味を持ちます。
接客業8年で培ったユーザー視点と傾聴力は、このビジョンを実現するための核心的な強みだと確信しています。
まとめ
「技術より大事なもの」というタイトルで書いてきましたが、技術力を軽視しているわけではありません。
技術力は必須です。でも技術力だけでは「良いシステム」は作れない。
接客業出身エンジニアが持つ「技術以外の強み」
- ユーザー視点:使う人の立場に立った開発姿勢
- 傾聴力:要件の背後にある本質を掴む力
- 問題解決力:トラブルに冷静に対処する力
- 橋渡し力:技術と非技術の間を繋ぐコミュニケーション
最後に
「システムを使ってくれている人が笑顔になり、このシステムがあってよかったと言ってもらえること」
これが私のエンジニアとしての最大のモチベーションです。
技術は手段。目的は「人を助けること」。
この視点を持ち続けることが、長く活躍できるエンジニアになる秘訣だと思っています。
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