副業解禁企業の統計データ:2025年の最新動向と推移分析
日本企業における副業解禁は、2018年を「副業元年」として急速に進展しています。複数の調査機関による統計データから、その実態が明らかになっています。
パーソル総合研究所の調査データ
パーソル総合研究所が実施した「第三回 副業の実態・意識に関する定量調査」により、企業の副業容認状況が数値で示されています。
2025年の企業副業容認率
- 副業容認率: 64%(2025年調査)
- 2023年からの増加: +3ポイント
- 過去最高を更新: 調査開始以来の最高値
この64%という数値は、調査を開始して以来の最高値であり、副業容認が着実に進展していることを示しています。
企業規模別の容認率推移
2023年の調査結果
- 全体: 60.9%
- 2021年からの増加: +5.9ポイント
2025年の調査結果
- 全体: 64%
- 2023年からの増加: +3ポイント
副業人材の受け入れ状況
企業が副業人材を受け入れる割合も増加傾向にあります:
- 2025年: 29%
- 2023年からの増加: +5ポイント
副業を認めるだけでなく、副業人材を積極的に活用する企業が約3割に達しています。
経団連(日本経済団体連合会)の調査
経団連が2022年10月に発表した「副業・兼業に関するアンケート調査結果」は、大企業の副業対応状況を示す重要なデータです。
副業を認める企業の割合
全体の統計
- 「認めている」企業: 53.1%
- 「今後認める予定」の企業: 17.5%
- 合計: 70.5%
7割以上の企業が副業を容認または容認予定という結果になっています。
従業員規模別の統計
5,000人以上の大企業
- 「認めている」: 66.7%
- 「今後認める予定」: 17.2%
- 合計: 83.9%
5,000人以上の大企業では、8割以上が副業を容認または容認予定です。
2019年からの変化
経団連の調査によると、副業を認める企業は2019年以降急増しています。この背景には以下の要因があります:
- 政府のガイドライン策定: 厚生労働省による副業・兼業促進ガイドライン
- テレワークの拡大: COVID-19パンデミックによるリモートワーク普及
- 働き方改革関連法: 多様な働き方の推進
正社員の副業実施率
企業が副業を容認しても、実際に副業を行う正社員の割合は限定的です。
パーソル総合研究所の調査結果
2023年の調査
- 正社員の副業実施率: 7%
- 前回調査からの変化: 微減
2025年の調査
- 正社員の副業実施率: 11%
- 2023年からの増加: +4ポイント
2025年には副業実施率が11%に上昇し、特に若年層での増加が顕著です。
副業実施率が低い理由
企業の容認率に対して実施率が低い理由として、以下が考えられます:
- 時間的制約: 本業との両立の難しさ
- 体力的負担: 過重労働への懸念
- スキル不足: 副業として提供できるスキルの不足
- 情報不足: 副業案件の見つけ方が分からない
副業解禁の歴史的推移
2018年:副業元年
2018年は「副業元年」と呼ばれ、以下の動きがありました:
- 厚生労働省: モデル就業規則の改定(副業禁止規定を削除)
- 副業・兼業促進ガイドライン: 策定・公表
- 企業の意識変化: 副業容認への転換点
2019年以降の加速
2019年以降、企業の副業容認が急速に進展:
- 大企業の先行: まず大企業が副業解禁を開始
- 中小企業への波及: 徐々に中小企業にも拡大
- 制度整備: 副業規程の策定が進む
2020年:パンデミックの影響
COVID-19パンデミックが副業容認をさらに加速:
- テレワークの普及: 在宅勤務により副業との両立が容易に
- 収入減少への対応: 経済的理由から副業ニーズが増加
- 企業の理解促進: 多様な働き方の必要性を認識
2023年の副業実態
別の調査機関による2023年のデータでは、副業実施者の増加が確認されています。
副業をする社会人の増加
- 2023年の調査: 副業や兼業をする社会人が4年で2倍に増加
- 背景: 働き方の多様化とオンライン化の進展
業種別の副業容認状況
IT・通信業
- 容認率: 70%以上(推定)
- 特徴: スキルの流動性が高く、副業との親和性が高い
製造業
- 容認率: 50%前後(推定)
- 特徴: 従来型の雇用形態が残り、容認に慎重
サービス業
- 容認率: 60%前後(推定)
- 特徴: 業種により差が大きい
副業容認企業が増加する理由
1. 人材確保・定着
優秀な人材を確保・定着させるため、副業容認が必要条件となってきています。
2. スキル向上
社員が副業を通じてスキルアップし、本業にも還元されることへの期待。
3. 社会的要請
政府による働き方改革の推進と、多様な働き方への社会的要請。
4. 競争力強化
他社が容認する中、自社のみ禁止では人材獲得競争で不利になる懸念。
副業容認企業の課題
1. 過重労働のリスク
パーソル総合研究所の調査では、過重労働リスクが浮き彫りになっています:
- 労働時間管理: 本業と副業の合計労働時間の把握が困難
- 健康管理: 長時間労働による健康リスク
- 生産性低下: 疲労による本業へのパフォーマンス低下
2. 情報漏洩リスク
- 機密情報の管理: 副業先への情報流出懸念
- 競業避止: 競合他社での副業を どう制限するか
3. 制度設計の複雑さ
- 規程の整備: 副業許可制度の設計
- 申請・承認フロー: 効率的な運用体制の構築
- トラブル対応: 副業に起因する問題への対処
厚生労働省の取り組み
副業・兼業の促進に関するガイドライン
厚生労働省は、2018年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定しました。
ガイドラインの主な内容
- 企業の対応: モデル就業規則の改定
- 労働時間管理: 副業の労働時間通算ルール
- 健康管理: 労働者の健康確保措置
- 社会保険: 複数事業所での加入ルール
労働時間の通算ルール
2020年9月の改正により、以下のルールが明確化されました:
- 法定労働時間: 本業と副業の労働時間を通算
- 時間外労働: 通算後に週40時間を超える部分が時間外労働
- 管理モデル: 簡便な労働時間管理の方法を提示
企業が副業を認める際の条件
多くの企業が、副業を認める際に一定の条件を設けています。
一般的な条件
- 事前申請・承認制: 会社への事前申請と承認が必要
- 競業避止: 競合他社での副業は禁止
- 本業への支障なし: 本業のパフォーマンスに影響しないこと
- 情報管理: 機密情報の漏洩防止
- 労働時間制限: 副業の労働時間に上限を設定
禁止される副業の例
- 競合他社での業務
- 風俗関連業務
- 公序良俗に反する業務
- 反社会的勢力との関わりがある業務
若年層の副業意識
Z世代の特徴
2025年の調査では、特に若年層(Z世代)での副業実施率の増加が顕著です:
- キャリア形成: 複数のスキル獲得を重視
- 収入の多様化: 単一収入源へのリスク回避
- 柔軟な働き方: 伝統的な雇用形態への疑問
今後の予測と展望
2026年以降の見通し
統計データの推移から、以下の予測が立てられます:
- 容認率70%突破: 2026-2027年に企業の副業容認率が70%を超える可能性
- 実施率の増加: 正社員の副業実施率が15%程度まで上昇
- 制度の成熟: 副業管理の仕組みが確立・標準化
- 人材流動性の向上: 労働市場の流動性がさらに高まる
企業に求められる対応
副業容認が当たり前になる中、企業には以下の対応が求められます:
- 明確な規程整備: 副業に関する明確なルールの策定
- 柔軟な制度運用: 画一的ではなく、個別状況に応じた対応
- 健康管理体制: 過重労働防止のための仕組み構築
- 魅力的な本業環境: 副業に頼らない本業の魅力向上
データが示す副業解禁の実態
以下の統計データから、日本企業の副業容認状況が明らかです:
- 企業の副業容認率64%(2025年、パーソル総合研究所)- 過去最高
- 経団連調査では70.5%が容認または容認予定(2022年)
- 5,000人以上の大企業では83.9%が容認または容認予定
- 正社員の実施率は11%(2025年)- 2023年から+4ポイント
- 副業人材受入れ企業29%(2025年)- +5ポイント増加
これらの統計は、副業が日本の労働市場において着実に定着しつつあることを示しています。企業の容認率は年々上昇し、2018年の「副業元年」から約7年で、副業は特殊なものから一般的な選択肢へと変化しています。
参考データ出典:
- パーソル総合研究所「第三回 副業の実態・意識に関する定量調査」(2023年、2025年)
- 経団連「副業・兼業に関するアンケート調査結果」(2022年10月)
- 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
- 日本経済新聞「副業容認企業が最高の64%」(2025年)
- 未来ワークス総研「大企業における『副業・兼業に関する人事制度』調査」(2025年)


